干イチジクをもむ


ほしいちじくはもみょうたよ。

大学の先生もきて、ヒヤのエンダでおじいちゃん(父)は必死で研究しょうたんよ。


ホシイチジクはよくもんでいた。

あの上によくハイ(蝿)が飛んできていた。

秋になれば庭に木の棒で杭をうって、竹を接ぎそのうえにうむしたホシイチジクを並べていた。

そのホシイチジクをよくもんでいた。

最初の頃はまだぶくぶくしたイチジクだが日が経つとひらべったくなる。
でも、ほっとくだけではひらべったくならないので。それを両手でもんでいた。

籠の上にはよくもんだイチジクと、そうでないのが混ざっているので、それを選んで次次ともんでいく。
雨が降ると、籠を上に積み上げてそのうえにおそいを掛けていた。


それは僕が高校を卒業する(S42)まで続いた。
ただ小学生当時より数がすくなくなっていた。


やがて使う硫黄が健康によくない、ということで大学生の頃「茂平名物・干しイチジク」はなくなった。
だがその頃、日本人のおやつは急速に贅沢化してきていて「硫黄」のことが無くても消滅にちかい運命をたどっていただろう。


2002年5月4日

つぎ