肥え壺に落ちたボールを拾う


ソフトのボールは貴重品だった。
飛んでいったボール、後ろにそらしたボール。いろいろあるが、とにかく探し出す。それは決まっていた。

草むらや、川に落ちる、家の廻りのどこかに消えた。そいういう場合は探し出してから、また始める。これは当たり前のことであった。


家の庭で一番多いのが屋根にかかっての中断。これは屋根まで登って竹棹などをつかって戻す。

その次に多いのが便所に落ちる。
当時の家は庭から近いところに小便壺があった。どこの家にも。

その中にボールはよく落ちていった。

箸を大きくしたきれっぱしを二本。それを使ってボールをつかむ。そのまま井戸までもって行く。
井戸水のバケツで何回も、何回も洗い流す。

乾く時間が待てない場合はドロを塗り再開。

そうやっての野球遊びであった。


2002年1月24日


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