母はノミをつかまえ爪でプチッ


母は小学校の低学年の僕を寝かせに布団に座る。

母にはまだ台所、風呂その他の仕事が残っている。
僕が寝るまで、そこに座っているのだ。

布団にはノミが跳んでいる。
母はノミを捕まえる。捕まえたかと思えば、爪と爪に挟みプチッ。


ノミは指と指の間に挟むとこ、までは僕にもできた。いくらかは。
だが、爪にはさみプチッと殺すのはできない。逃げられる。


大人とは、母とはすごいものだと思っていた。

夏の夜は、そういう毎夜であった。

2002年1月24日

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