愛染かつら


いわき市にいた時の話。

東京からの出張の帰り。上野発の日立号の僕の後ろの席には歌手の霧島昇がいた。


霧島昇は70歳前くらいの付け人と同乗していた。

列車が水戸駅を発車してすぐの頃、霧島が付け人に言った「弁当がほしい。」
時間はもう9時をとうにまわり次の日立駅に着いても買えそうに無い状況であった。
水戸駅が最後のチャンスの時だったのだが、よりにより発車してすぐ言ったのだ。


付け人はすぐ動いた。前の車両、後ろの車両・・・ワゴン車などの売り子はいない時間。そしてついには車掌にまで・・買う方法は無いか・・問い合わせた。

付け人というのはこうまでご主人にいわれるまま動かなくては勤められないのか ?
歌手というのは・・・いい年をしていても・・・こうまで馬鹿まるだしなのか ?

それを思い知らされた光景だった。

2000年10月27日


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