作業服の尻ポケット


三井造船の構内は横に長く山裾を2キロくらい続いていた。

正門から入ると左に銀行の出張所のコーナーがあり、鉄格子のカウンターになっていて造船所ができた大正時代の雰囲気であった。

そのころ給料は現金支給で、もらった給料は財布に入れていた。
(天引きの社内預金を2万円ほどしていた。利息はいつも8%台だった。)

給料は会社の人との飲み食い、岡山に行き高島屋一番街での衣類、本代など。

一ヶ月経ちまた給料日。またポケットの財布に入れる。
財布は膨らむ、当然尻ポケットも膨らむ。

三井の中を歩いていて恥かしいくらいに感じだした。それで投資信託をはじめた。
三井造船の銀行コーナーに行き投資信託の振込みを毎月2万円ほどしだした。

それでもまだたいした効果はなかった。

その頃、同級生前後の人が結婚をはじめていた。
尻ポケットのふくらみを解消するには、結婚すれば一挙に解決するのか?
と、おぼろげに思いはじめた。


2002年3月26日

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