宇宿は鹿児島と谷山の中間に位置した。
鹿児島に行くにも、谷山に行くにも電車が一番便利だった。
もっとも谷山に行く事はほとんどないが。
宇宿は工場と民家がだらだらとつづいていたところで、市電の「宇宿」で降りて会社宿舎まであるいて5分くらいのところにあった。
市電「宇宿」駅の海側でない方は山にむかって住宅地が分散してした。田舎と町の中間でのんびりしたところだった。
そこには「チャペルに続く白い道」があるとよく聞かされた。
仕事で谷山ふきんはよく走った。同僚の家には仕事外でもよく行くことがあった。
だが、その「チャペルに続く白い道」にはついにおめにかかれなかった。
あれは本当にあったのだろうか?
その数年前、歌手西郷輝彦はデビューすぐ「チャペルに続く白い道」を歌った。西郷は鹿児島出身を売りにしていた。
映画「17歳のこの胸に」も鹿児島ロケをしている。
あの「白い道」はきっと作り話であったのだろう。
(東映・17歳のこの胸に・昭和39年)
2002年6月2日