竹川くんは

 

出身が熊本県人吉市で日本大学理工学部卒五洋建設入社の男であった。

霧の街、城下町、球麿川、というより球磨焼酎の人吉の男であった。

結婚した彼は「なあに、結婚したことより車を買ったことのほうがよっぽどよかですよ」と照れていた。

その後イラク・バスラ港からも元気な手紙をよこし、私が東京本社にいくと「女房から分捕ってきましたから」と夜の付き合いもしてくれた。

笠岡に帰ってきてから1年ほどしたある日、妻から「今日鹿児島の竹川さんという人の奥さんから電話があり主人が亡くなり…………」ということを聞かされた。

竹川くんは僕より1歳年下の男であった。

 

 

99・11・28