はじめての成人映画   1967・3月 s42


その頃、「成人映画」とは言わず「エロ映画」と言っていた。

笠岡の金映は成人映画専門だった。
ちいさな笠岡の町には刺激的な映画看板が町角に立っていた。



同級生tくんと二人でそのエロ映画を見に行った。
高校3年の卒業式も終わり、進学先の大学も決まっていた春のこと。


福山の大黒座の向かい側にある映画館。
そこへ行った。

笠岡ではなく福山に行った理由はひとつ、こっそりと入るには笠岡は狭すぎた。



映画はストーリーはまるっきり安物。
それに画面は白黒だった。
さらには”刺激的”な画面はたいしてなかった。


こんなもんか・・という期待はずれだけが残ったまま映画館を出た。


すると、同行のt君が言うには「ワシャ泣けてきてのう。」
???

その上映映画は2本か3本だったが、うち1本は貧しい農家の娘が女郎に売られるという筋のエロ映画だった。その映画にtくんは泣けたそうだ。





t君の感想があまりに僕と違ったので、今でもその時の言葉をこうして覚えている。


2004年9月18日


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