大門駅から聞こえる汽笛は消えた (作者記)

茂平の山のむこうには大門駅があった。

大門駅からはボォーボォーと汽笛が聞こえていた。

ガッチャン・・・・ボォーと山むこうから茂平まで聞こえていた。


笠岡に行くにも、福山に行くにも茂平の人は山を越え大門駅に行き汽車に乗る。笠岡に行く時は金浦附近で窓を降ろす。少し開ける、開けたままにしているとトンネルでは煙が室内にはいってきた。それはいつもの光景だった。


小学校に行くにも、中学校に行くにも茂平の人は踏み切りを渡らねば行けない。その踏み切りは蒸気機関車が通るレールだった。
ある日突然として蒸気機関車は消えた。

消えた蒸気機関車はもう二度と走らなくなった。


その頃同時に、笠岡に準急が停まるようになった。
それが嬉しかった。(乗りはしないけど、市民として)

2000年12月31日