「お兄ちゃんは『お月さん今晩は』を。」


根拠もない禁止令は今も当時もたいして変わらない。
「子供が流行歌を歌わないように。」と、学校の先生から注達があった。


当時の歌と言えば「お富さん」「愛ちゃんはお嫁に」

で、どうしたかというと。

「・・・死んだはずだよ、オトラさん・・」、オトラさんとは当時の人気漫画。
「・・・カイちゃんは太郎の嫁になる・・」、カイちゃんとは茂平の小学生・カイちゃん。

それで、子供にとっては勝手に免罪になっていた。


ある日の教室、学校の先生。
「家で流行歌を歌っている兄弟はいないか?」


「ハイ!」と、美幸ちゃん。

「お兄ちゃんは『お月さん今晩は』を歌っています。」



美幸ちゃんとは小学校・中学校・高校と同じだった。
美幸ちゃんとは20才位のとき話したことがある。信心について語ってくれた。
まもなくして美幸ちゃんは純愛をつらぬきこの世を去った。


2002年1月26日


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