顔に飛んできて止る蝿

蝿は家の中にもいた。
蝿は家の外でもいた。道端にもいた。何処にでもいた。


茂平では「ハイ」と言っていた。

蝿と蚊は、これも夏の風物であった。なくてはならないものでは無くて、当然あるもの。それで夏。
そういう感じ。

子供はよく昼寝をしていた。起きる時、それは蝿が顔にとまりくすぐったい事を感じる時。

近所の友達の家に行った時でも、自然と昼寝をしていた。
目が覚めるのは蝿。おばあさんがいる家では目が覚めると団扇を振ていた。
おばあさんの団扇が涼しくて気持ちよいのでまた寝るふりをする。

あの頃のおばあさんは何処の家の子供でも、そうやってかわいがっていたような気がする。
火鉢は1年中家の中にあった。夏はその中で除虫菊を蒸しょうたような。

2002年3月11日

2002年1月6日