戦死者の骨

遺品と骨を送りょうた。

骨はちょびっと送りゃぁええ。


頭も焼いたのを入れる。

誰のかわからん。
焼けたトコと焼けんトコがあるんじゃ。

よく焼けたトコを入りょうた。

誰のかわからんのじゃ。

違う人間のを送っとるかもわからんが、送られてきたほうは。白い骨なんで自分トコと思う。
「ウチの息子のとは違う。」とは誰も言やぁせんものぉ。


他所の男のかも知らんが、それはそれでええ。(同じ戦死者の骨に違いはないし)

骨を入れる時、コゲてしまう。

頭は薄い、手や、脚や、分けて入れる。
壺へ入れる時、骨でありしゃすりゃあ脚・手・頭を順番に入れていきょうた。(一つの壺に数人ぶんの骨が混ざる)

そうやって名前を付けておくりょうた。


野戦途中での死者は焼く余裕があったのだろうか?


病人は連れて行く。

途中で死んだ人はそこで埋みょうた。焼かれんものぉ。
駐留した時に焼く。その時に送る。ウソをおくる。「息子の骨じゃ。」ゆうて。
受け取ったほうも「息子の骨」だけじゃと思やぁへん。
そういう状態で処理するしかなかったし。しょうがねぇ。




2002年10月14日