修学旅行の味噌汁
高校2年の時、修学旅行は信州と東京だった。
善光寺を見て長野市の旅館に泊まった朝。
ごはんと味噌汁がでた。
味噌汁のなかにはしじみだけ。
しかもしじみはおわんの中に二つ三つ。
朝の味噌汁は僕の食べている味噌汁と違いすぎていた。
僕にとっての味噌汁は食べるもの。
野菜やふが汁の中にいっぱいはいっているもの、それが味噌汁。
貝ならあさりがつまりきったもの。たったのニ三個いうものではない。
いったいこの味噌汁はどういうことなんか?
と思いながら口にした。
うまかった。
味噌汁は食べるものではなくて吸うものであることも知った。
僕の知る世間はこの程度の狭さを実感した。
こういうこともあり高校出るまで笠岡の町の人の話は聞いているだけの方が多かった。
うっかり言うと恥をかくような気がしていた。
2004-10-13