紙芝居屋さんはほどなく消えて


紙芝居のおじさんは、観音堂の前に来ていた。

紙芝居は保育園の時、保母さんがよくしていた。楽しかった。

小学生になると紙芝居とは縁がなくなっていた。それは園児のものだと思っていたが。少年雑誌で、少年相手の紙芝居があることを知った。

茂平に来る紙芝居のおじさんは、雑誌で知ったソレと同じであった。
集まった子供に棒アメをくばり、それから紙芝居を始める。

アメを買わない子供も拒否はせず、そういう子は遠回りに見ていた。

紙芝居のおじさんは説明しながらも、びっくりするような声と顔の表情を変えていた。それが面白かった。

「また続き」と、言っておじさんは帰っていた。
紙芝居に続きがあるのは不満だった。

保育園で見ていた紙芝居に「続き」はなかった。お金も要らなかった。
茂平にくる紙芝居はおもしろかった、のではあるがお金を「5円」も出してみるというほどの魅力は無かった。



魚屋の美空ひばり

2002年3月15日

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