トウガキ畑では


作者記・2001年7月14日

トウガキ畑には既に青いトウガキがいっぱい大きくなっていた。

  実を指しながら母は「風で傷がついてしもうた。」と青い実に筋のような傷をながめていた。
そのため葉っぱを落としていた。葉っぱと実がこすって傷がつく。

  「はな」(一本の木にいくらか”はな”とよばれる実が早く熟れる)のええのが成っとたんじゃが、鳥にやられた。
葉っぱの陰に隠れていたんでヤラレンで済む思う取ったが。一個も残されんようにやられた。

  隣の無花果畑では僕の三年先輩のHさんが草取りをしていた。(思えば早いもので、Hさんは大学進学浪人中に鋼管に務めだしそれから今は茂平で農業をしている。)
「ゼニになるのはトオガキだけ。あとは何を作ってもゼニにならん。
本気につくっても鳥の餌になるだけ。
イチゴはゼニになるが、ありょを作りょうたら葬式にもいけん。雨が降っても、晴れても、曇っても、とにかくかかりつけじゃけぃ。」



  温室の無花果は今日も農協に大勢の出荷人が集まっていた。
もうすぐ路地物のトオガキがでる。

2001年7月14日