白紙をもらって@ A (おばの話)


兄からの「ミルクキャラメル」


食べ物は無くて、朝は梅干。昼はメザシ一匹じゃった。それくらい食べる物がない時じゃった。

兄がよく、ふかした芋を送ってくりょうた。

ある時(送って呉れた荷物の中に)これくらいの・・・おばはそういって手を広げて、手のひらサイズ・・・真四角の薄いものが(更に)包まれて入っていた。

なんなのかと、みんな寄ってきた。
そのなかには「ミルクキャラメル」が十個ほど入っていた。

それをみんなで食べた。
おいしくてみんなよろこんだ。


それから(児島を離れた後の事)、兄にどうして手に入れたのか聞いてみたら。
「ある所から入手した。荷物に「キャラメル」とは書けんから、更に巻いて他の名前を書いて送った。」ゆうてようたのを覚えとる。


作者記・キャラメル一箱を手にいれる難儀さ、そしてそれを自分で食べず妹に送る、送るに何回も隠すように梱包する。そういう時代が悲しくもあり、家族の強さを感じたりもする。







2002年4月14日